サークルにいたゲイ
大学の時、入ったサークルにザ・ゲイがいました。正確にはザ・オネエでした。田舎から出てきて、心機一転と思っていた僕でしたが、いや、別に見知らぬ土地で一からゲイとして生きていくという気持ちではなかったですが、先にザ・ゲイがいたのでなんかもはやその道は選択肢から消えたなって感じでした。彼の強烈なキャラクターのおかげで、僕がゲイであるということはそこまで疑われず（疑われるのは疑われた）に済みましたので感謝してました。ある日数人で話してた時、「でもteranはもしかしてゲイかなーって思ってたよー」とかいう戦慄の会話が突然始まったときに、そのザ・ゲイが「え～teranはぜんぜんちがうよ～」と言ってくれたその時、普段はぜんぜん仲良くなかった僕たちですが、あの時、確かに、そういいながら僕を見る彼のまなざしに、やさしさを感じました。
僕は自分のことをおおっぴらにして生きていく度胸もなければ、オネエ的なキャラで生きたいわけでもなく、彼とは価値観がおそらく全然違ったのですが、彼の腹をくくった生き方は見上げたものがあるなあと思いました。きっちりと捨てるもの、守るものを区別した生き方で20歳そこそこでその覚悟をしていたのは今思えばすごいです。
大学内では男の恰好をしていた彼ですが、私生活ではドラアグクイーン的な活動をしていたようで、メイクなどにかなり詳しく、またさまざまなメイク道具を持っていて、たまにサークルの部屋で道具を広げて女子にメイクしたりしてました。ちなみに彼の変身後の写真は微妙でした。その流れで就活では化粧品会社を受けまくって、某大手の誰でも知っている化粧品会社から内定をもらってました。でも結局留年して内定取り消しになってました。僕はその後卒業したので彼がどうなったかは知らないのですが、きっと幸せに生きていることでしょう。
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