一桁代の記憶
年齢一桁代の時のことはほぼ忘却の彼方なのですが、いくつか覚えていることがあって、初めて雨の匂いを嗅いで好印象を持ったのが三歳くらいのころ、叔母の家の前で三輪車をひっくり返してタイヤ部分に細かい砂利を詰めて、ペダルを掴んで高速で回して砂利を周囲にまき散らす遊びをしていた時だったのを覚えています。晴れてるときに降ってきて雨の匂いを醸し出すあれ。幸せな時代だったので今でも雨の匂いには大変いい印象を持っています。あとは、叔母がパートに行ってたパン屋さんの厨房? の端っこに座っていて、小麦粉を練ったパンの原形の匂いに慣れたのも同じくらいのころだったと思います。今も国道沿いにあるパン屋さんの前を通るとその匂いがして落ち着きます(不思議と近所のおしゃれ系パン屋さんの近くではこの匂いがしません)。で、近所には子供たちがそれなりにいたのですが、「公園にいるから遊ぶ」というその場限りの関係ではなく、積極的に家を訪ねたりして遊ぶ、いわゆる友達ができたのは五歳のころだったと思うんですけど、一つ年上の男の子で、幼稚園が一緒で、警察官の子供だったので、その子が小学校に上がるタイミングで親の転勤でどこかに去っていったんですけど、引っ越す前日かその直前に、その子の家の近くの坂道になっている生活道路の頂点(行き止まり)に二人並んで座って、五歳(向こうは六歳)ながらも、互いに今生の別れになることを理解していて(実際にその後会ってない)、坂道のてっぺんからは夕暮れがよく見えて、なんだかしんみりした雰囲気の中「今度マリオ3買ってもらう」ってその子が言ってたのを覚えています。なんでこんなことを書いているかというと、今読んでる小説で、幼いころのことを主人公が事細かに述懐していて、(そんなに覚えてることある?)って思ったからです。まあ、意外と覚えてるな、と思いましたが。そういえば、これも五歳くらいのころ、父親の職場の知り合いかなんかの女の人と僕が父親の運転するワゴン車の後ろに座ってどこか遠くに行ったことがあったんですけど、その女の人がハンカチを取り出して、角を中央に向けて折ってはひっくり返す動作を繰り返して、バナナを作ってくれたことがありました。ちゃんと皮が四つに分かれて剥けるようになっていて、僕は大変感動したのを覚えています。人に親切にしてもらったとか、そういうのだけコレクションできると穏やかな日々が送れそうです。一日を終える前、こういう記憶を思い出すとぐっすり眠れそうな気がします。ノート作るといいと思います。
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