Augustsky

30代ゲイが日々のことを書き綴るブログ

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有休三日目

起きて顔洗ってコーヒーとチョコクロワッサンを食べて、天気が悪いなと思いました。日が差さないとこの部屋は豆腐の内側みたいな閉塞感があるので、世の中とのつながりを持ちたくてインターネットをしていたのですが、もっと情報を浴びたい、囲まれたいと思ったので近所の本屋に行ってきました。本屋で本を買うことは最近ほとんどなくなってもっぱらKindleなんですが、これは僕の家にそんなに本を格納しておける場所がないからで、別に紙を軽んじているわけではないです。エッセイなんかは適当に開いたページから読むのが好きです。辛い出来事が起きる小説は辛くないところから何度も読みます。辛い出来事は心が揺さぶられるので苦手なのですが、それ抜きに話が成立しないのだから仕方ないので、最初に読むときに飛ばしたりしないですけど、何度も読みたくないです。

本屋をぶらぶらしていて、文芸的なコーナーで立ち止まって書棚を凝視していましたら、諸星大二郎さんの特集の本があって、これ素晴らしいので買おう、と思いましたが、他のとこ見て回ってからにしようと思いまたぐるぐると本屋をうろついて、日本文学のコーナーへ行きました。吉田修一さんの本が平積みにされていて、僕は吉田修一さんの作品好きですので、手に取って帯をみると長崎の話からの極道と梨園と芸能界みたいな話で、ぱっと開いたページに「将生……」みたいなセリフが書かれていて、僕は岡田将生さんのファンなので、(これは読めと言う読書神の啓示……)と脳内のこじつけを完了したのですが、問題はハードカバーということで、というのも僕はおそらくこの本を日曜日のクアラルンプール行きのフライトで読むはずなので、そうなるとハードカバーかさばる問題が発生しましたので、Kindleで買うことにしました。ちなみに僕は友達に勧められてKindle paperwhiteを持っています。友達はこれいいよ、って見せてくれてライブラリも丸見えで触らせてくれましたが、僕のは決して誰にも触らせることができないライブラリになっています。

それでぐるっと回って元の文芸的なコーナーに戻ってきたのですが、諸星大二郎特集の本の横にクイックジャパンがあったんです。クイックジャパンといえば中学生くらいのころ、エヴァ特集とかやってたりサブカルっぽいのとか載っている本、という印象がありましたが、僕の地元は、外国から来たALTが、高校の文化祭でオリジナル曲披露、つって「ヤマデス~カワデス~」と歌うほどの田舎でしたので、地元の本屋には置いておらず、たまに長い時間かけて出かけていく大都会佐世保(誰しも最初に出会ったビルのある街がその人の大都会になるものだと信じています)の書店にて数度見かけたくらいで、買ったことあるかもしれないしないかもしれないです。

手に取ってみると、すごい密度の情報のシャワー、しかも僕に縁がない。という感じでそっ閉じして棚に戻そうとしたのですが、やっぱりもう一度開いて、ざっと見て、レジに行って、買ってきました。ある意味仏像の雑誌よりも僕に縁がない本だと思ったんですけど、なんか僕の中の変身願望が頭をもたげるのを感じたからです。

僕はわりと自分の人生ほったらかしに放棄して別人になりたい願望が昔からあって、今ぱっと思いだされたのは兄が地元を出て行ったときのことなんですけど、僕の兄は5歳上で、つねに僕は彼の文化的影響下にあり、聴くもの、見るもの、着るもの、特に聴くものに関しては彼の世界のコピーに生きていたので、洋楽か、邦楽なら彼が聴いている曲を主に聴いていました。それ以外を聴くと「なんでそがんと聴きよるとや(文字にすると古文のようですね)」って言われるからです。僕は別にこれがそんなに嫌だったわけではなく、兄は長男でいばらの道を切り開いてそこで味見や毒見したものを弟の僕に与えてくれるので、失敗がないと言えば失敗はなく、いいものを手に取ることができていたと思います。例えば、すごくいいと思って聞いてたらそれが洋楽の丸パクリだったみたいな黒歴史は兄の世代がフィルタリングしてくれて僕のもとに残るので、僕と同じ世代の長男だったりする友達が地雷踏んでるのを生暖かく見守ることができるという利点はありました。

で、兄はなぜかラルクアンシエルが嫌いだったんですね、当時。何があったのかは知らないですけど、ラルク好きの女の子に振られでもしたんでしょうか。とにかくラルク緘口令ともいえる状態で歌番組に出ててもすぐ変えられてしまっていて、僕もその影響下にあったんです。でも僕はラルクの曲を聴きたかったんですね。そんなこんなで時は過ぎ、兄が高校を卒業して地元出ていくことになって、兄が出て行ったその日に、コンビニに行って(当時はコンビニにCDやゲームが売っていた)、ラルクのシングルを買ったんです。その時に僕はそれまでの自分を脱ぎ捨てた感覚に満ち溢れたんです。まあこれは親離れならぬ兄離れ的なことなのかもしれないですけど、とにかく自分の世界に存在しなかった要素を入れるという行動で、自分の成分に化学変化が起こる感じがして、自分が別人になったような気がしました。

そのときの経験が強烈だったのか、日々生活を続けて行く中で、意識的にも無意識的にも自分の内にも外にも薄皮ができてそれが渋皮になって鬼皮になって鎧になって、時には自分を守ってくれるけど、重さで身動きとれなくなることもあって、そういう時に、新しい成分を自分に注入したい欲が出てきます。それが本日クイックジャパンだったというわけです。途中のマンガとかまじで意味わからないしなにが面白いのかわからないし、こういう漫画を愛読していて、その良さを言語化して語ることができる人と、現在の僕は絶対友達になれないと思うのですが、そんな平行世界の住人を自分の世界に重ねて見ることで見えるものがある気がします。

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