僕のBL好きのはじまり
昔々、僕が小学生だったころです。兄が兄の女友達から（今思えば彼女かもしれん）少女漫画を借りてくるのが盛んな時期がありまして、その時に借りてきた漫画のひとつに「っポイ！」がありまして、基本的に弟は兄が読んでいるものや聴いているものを摂取して大きくなるものですから、僕も素直にこの本を読んでいました。兄はこの漫画、結局ぜんぜん興味がなかったようで、数巻まとめて借りてきたのち、その続きが借りられてくることがなくなったので、しかたなく僕は自分で買うことになったのですが、田舎の小学生男子にとって、本屋の少女漫画コーナーというのは、歩いているのを誰かに目撃された時点で即アウトな危険地帯でしたので、店内に知り合いがいないことを確認したうえで、少女漫画コーナーを風のようにかけぬけつつ目当てのブツをピックアップして店員と目を合わさずに購入する必要があり大変苦労しました。実際には走ってたら動体視力の限界ですので花とゆめコミックスのマークがついている本のかたまりの前で数秒視力をフル稼働する時間を要しました。
最初は主人公の平が女装したらめちゃくちゃかわいくなるという点において、幼きゲイだった僕は（いいなあ…）とまだおぼろげに将来ワンチャンあるんじゃないかと夢想していたので、それで読んでたんだと記憶してますけど、途中から（もし序盤から出てたらすみません）鷹丘 虎雄というキャラが出てきまして、この鷹丘 虎雄が女装した平を好きになるというですね、このくだりですね、このあたりで（一生読もう…）と思いました。その後も時間がほぼ止まった精神と時の部屋と化した中学校で、なんやかんやと事件やら事故やら恋愛沙汰やら勃発するのですが、その一方で、作中に出てくる小道具も携帯だったりPHSだったりと時代を反映したものが出てきまして、しかしながら1991年に始まった連載が2010年に終わるまで、作者もお年を召したのでしょうから、次第におよそ現代の中学生が使わないであろう言い回しなどが増えてきて（きっつ）って思うこともしばしばございました。
読み始めたときに小学生だった僕が中学生になり、高校生になり、高校を中退し、高校に再度入学し、大学生になり、社会人になり、会社を一度辞めたあたりで連載が完結しました。何度も読んだ漫画なので比較的覚えているのですが、なんかたくさん人が出てきた気がします。毎年、この寒々しい雨が降る季節に思い出すのが、次のシーンです。
一ノ瀬 雛姫（ヒロイン的なキャラ）が、なんか知らんけど雨に濡れて帰ってきて、そしたらお母さん（専業主婦）が「まあ、こんなに濡れて、風邪をひいたら大変、シャワー浴びてらっしゃい。あたたかいお紅茶入れておくわね」と声をかけ「うん、ありがとう、ママ」的なやりとりがされる
うろ覚えなので勝手にセリフを脚色している可能性が100%ありますが、気にしないでください。僕がここで言いたいことは、それなりに金持ちの家のお嬢さんで優しいお母さんが専業主婦で家に常駐している上に紅茶に”お”を付ける上品さである、にもかかわらず、”はい、お母さま”と返事をするような突飛なキャラ設定ではなく”うん、ママ”という言葉遣い。リアルかと言われたらそうでもないけど、夢があるシチュエーション（僕視点で）が素晴らしいな、と当時思ったということです。
あと、この季節の快晴の日にも思い出します。
（主人公である平、万里の2人が芝生もしくは土手に寝転がっている）。主人公のどちらか「空が青いなあ！」主人公のどちらか「高いなあ！」
っていうやりとり。なんかもう”青・春”って感じで、一度めくって次のページいって、もどって見て（はあ…こいが青春ばい…[訳：はあ…これが青春だよ]）と思ったということです。ちなみにこの漫画をアニメ化するとして、もし制作サイドから挿入曲の希望を聞かれたら（聞かれない）the brilliant greenの「Hello Another Way -それぞれの場所-」を推します。OPでもEDでもなく挿入曲です。だいたい事件やらなんやら面倒なことがおこって、誰かしらが走ってたりするので、そういうシーンで流します。もしくは告白しそびれるなりなんなりしてるシーンとかです。そういえば、ドラマ化されてた気がしますが、キャスティングに憤怒した覚えがあります。なので見てません。
いつになく熱く筆がほとばしってしまいました。書き始めはこんなつもりではなかったのですが。ついつい寒々しい雨が降る季節に思い出してしまったので。正直書こうと思ったらひとカテゴリ作ってかけるのではないかと思い始めるほどです。セリフは100％うろ覚えですが。
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